戊(つちのえ)と己(つちのと)

戊 「戊」の部首は「戈」であることから、人が圧力を感じる存在ということで、どっしりした山にたとえられるのでしょう。重く固く力強いです。どっしりした陽の土である「戊」は、不変で不動ですが、土は季節でいうと「土用」ですから、変容性も持ち併せます。「土用」は夏の土用が「土用の丑の日」で一般に知られていますが、実際には一年に4回、季節の変わり目にあります。土用の期間はそれぞれ20日間ありますが、その間は土いじりがタブーです。土の神さまが宿っているからと考えられています。さて、水のない土はパサパサに乾き、さらに火の気が強くなると何も育たない土となり焦土と呼びます。ついには噴火も招き危険です。「戊」の人は一見頼もしいですが、いったん爆発するとパワ-があるだけに手がつけられなくなります。しかし水の暴走を押しとどめる防波堤の役割も持ちます。「戊」に適度な水があれば、草木を「茂」らせることにつながり、信頼を勝ち取ります。 

己 畑や田園の土にたとえられる「己」は、大人しい印象ですが、全てを「包み」、「巻き」込む力を内包しています。どんなにしんどいことにも黙々と耐えます。また、意外と初代運があり事業を始める人もいるのは、「起こす」の文字の中に「己」が潜んでいるせいかもしれません。適度な水と太陽、そして「甲」(きのえは樹木であると同時に畑を耕すクワの働きもあります)によって耕されることが「己」がよい土となる条件です。よい土は種子の芽を育み、花を咲かせることから、「己」のひとは人を育てるのが上手です。蓄えた養分を惜しみなく提供します。道からそれたものを「改める」ことも得意かもしれません。一方で、「己」は「おのれ」とも読みます。自分を指すときに鼻を指すように、「己」のひとは案外鼻っ柱が強いかもしれませんね。「丙」のひとのタレント性とはまた違うカリスマ性を、この「己」のひとは持つとも言われます。