最近強く影響を受けている方、それは佐藤初女(はつめ)さんという方です。
「ガイア・シンフォニー第2番」によりその存在を知りました。
龍村 仁(たつむらじん)氏のドキュメンタリー映画です。
青森県の弘前、岩木山のふもとに「森のイスキア」という癒しの場があります。かつて初女さんに救われた方たちの奉仕や寄付によって作られた場なのだそうです。
佐藤初女さんのもとには、心を病んだ人や苦しみを抱えた人たちが自然と集まってきます。そんなとき初女さんは、土地で採れた新鮮な材料を使っておいしいものを作り食べさせてあげ、ただ黙ってそばにすわっているのです。
そうナレーションは語ります。
悩み事や問題を持って心が弱っている方たちのために自宅を開放して、おむすびを握ってあげる。
愛情たっぷりに作った自家製の梅干しいりのおむすびは、初女さんの心のようにふわっとしているそうです。
そして初女さんは、何も言わず、ただそこにすわっているだけなのだそうです。
おむすびを食べ終わると皆元気になっていくそうです。
そこには、初女さんの「思い」がこもっているから、初女さんのおむすびは「心づくし」のひと品なのです。
おむすびだけでなく、初女さんは新鮮な食材をお孫さんと一緒に採りに行き、食材の持っているエネルギーを提供することを一番に考えてらっしゃいます。
青森市の厳格な士族の家に生まれた初女さんは女学校に通っていた頃に父の事業の失敗を経験し、住む家も財産も全て失ったそうです。つらい現実を少女時代に身体全体で受け止めたのでしょう、胸を患ったそうです。喀血しながらも電信柱につかまりながら女学校に通ったのだそうです。
とうとう大喀血して死の淵をさまよったとき、お薬でも注射でもなく、「食べ物」によって元気になると実感なさったといいます。
あるとき神父さまに「祈りとは何ですか?」と聞かれたとき、とっさに「生活です」と答えたといいます。
そんなエピソードからも、初女さんのひととなりが見えてきます。
今ここに食べられない人、病んでる人がいた時に、座って祈るのでなく、食べさせてあげることこそが祈り、という考えです。
生活全てが祈りであるとも。
なんて素晴らしい言葉でしょう‼
食べることとその人の心境は一致している。心が詰まっていると食べられない。
食べられるようになったら心が動いたなと感じるそうです。
そして、自分が食べられるようになると、今度は人のために動き出す、と初女さんは語ります。
他人のために働くことは、人間の生まれ持った喜び。そんな「霊的な喜び」を体験するをするとこれ以上の体験はない。
相手の喜びが初女さんの生きる力。
初女さんの語る言葉には重みがあります。
こんな言葉を語れるひとになりたい。
せめて初女さんにお会いしたい。
ところが初女さんは、もうこの世の人ではありませんでした。
そのうち初女さんが焦がれた「鐘」の音、そしてアメリカの修道院から贈られた「鐘」の音を聞きに「森のイスキア」を訪ねてみたいと思います。
本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。