ちひろ美術館で宇宙を感じた

梅雨の最中にあまり降らなかった雨が、明けた途端に降り始めた感じです。

これを「戻り梅雨」というのだとか・・・

潤いをもたらす雨なら歓迎ですが、災害はもうこれ以上起こりませんように。

災害に遭われた方たちには、一日も早い平穏な日常が訪れますように。

 

昨日は念願かなって、下石神井にある「ちひろ美術館」に行ってきました。駅では上井草が最寄りです。

そこは住宅地にひっそりとある建物で、聞けばいわさきちひろの私邸の跡地に建てられたものなのだそうです。中には、ちひろが実際に絵を描いていた部屋が再現されていて、生活の延長線上にある優しい世界を生みだした場との出会いに静かな感動を覚えました。

 

今年は開館40周年にあたるそうで、「奈良美智がつくる茂田井武 夢の旅人」という企画展もあり、まずはそこから見て回りました。

なぁんて言ってますが、昨日訪れるまで私は企画展の存在は認識もしていませんでした。

奈良美智(ならよしとも)といえば、おでこが丸く大きくて目にインパクトのある子どもの顔で人気がある画家ですが、一筋縄ではいかない「聞かん気」とも見える意思を持った存在としての子どもの表情は、つい蓋をしたくなる内面を見透かされたように感じて、見るのには覚悟が伴います。

その奈良さんがリスペクトしている画家が茂田井(もたい)武さんです。

これまた私は耳にしたことがなかった画家なのですが、昨日ご一緒したA子さんは、絵本の読み聞かせを通して絵本に親しみご研究もされてきた方なので、私に見せてくれようとして、わざわざ茂田井さんの描いた「セロ弾きのゴーシュ」の絵本を持ってきて下さっていました。

茂田井さんがパリに滞在したときのスケッチ一枚一枚の味わいは言葉を越えています。決して明るい色調とは言えないのに暗さはなく、幻想的でもあるのに人間的な温かさもあり、実に魅力的な世界が展開されていました。

半分酔って半分醒めて描いたような「夢」のような作品を見ると、彼は人を取り巻く宇宙を感じていたのかなと感じました。

途中居心地のよいソファに腰を下ろして、A子さんの持ってきて下さった「セロ弾きのゴーシュ」の絵を鑑賞しました。星とも石とも動物たちとも会話していたんじゃないかと思われる宮沢賢治の世界を、茂田井さんの絵は同じ世界観で描いていることが伝わりました。

自分が宇宙で、宇宙は自分であるという領域を目指す私にとって、宮沢賢治の世界、茂田井武の世界に、今このタイミングで出会えた不思議を思いました。

さらに見て回ると、素晴らしい出会いが‼

A子さんが見せてくれた絵本の原画が、紛れもなく本物が、そこにはあったのです‼

 

絵本で見る「絵」も十分素敵ですが、やはり本物は圧倒的に何かが違いました。

微妙な色彩の違いということもありますが、原画の持つエネルギーとでもいうのでしょうか、「生きた」何かがそこにはありました。

小手先ではどうにもすることのできない、命をかけた仕事を見せられたようにも思いました。

 

どうしても「善」と「悪」とか、「好き」と「嫌い」など、知らず知らずのうちにやってきた私は、今、これを超えていくことを大きな課題としているのですが、茂井田さんの絵からその一端に触れることができたことは有難かったです。

目には見えない勢い・エネルギーが本物にはあります。こちらはパソコン画面を写メしたものですので、力はお伝えできないのが残念です。

が、光や風、そして音までもが描かれていることはご覧になればわかるかと思います。

ちひろさんの魅力についてはまた後日。

 

本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。