オリンピックに潜む魔物の正体 ~内村航平選手の場合

今日は夕方、そよ風に優しくなびくお花のような方とお茶する機会を得ました。エレガントな姿も、世の中をしっかり見据える目の確かさも素敵な女性です。一流の先生について芸術の道を歩んでこられたお話は大変面白くて惹き込まれました。

お話をよくよく伺うと、これまでいろいろな魔物と出会ってきたようです。いつも明るい声のトーンで、口角がいつも上がって幸せな雰囲気をたたえていらっしゃる方なので、魔物とは無縁かと思っていました。素敵な方というのは、「なんにもなかった」人ではなく、「何かあっても乗り越えてらした」方なのだなとつくづく思ったのでした。

 

前回ロンドンオリンピックの時にまさかの失敗を鉄棒とあん馬でしてしまったことについて、日本男子体操のエース内村航平選手は「オリンピックには魔物がいた」と語っていたのは、皆さまも記憶されていることと思います。

その「魔物」の正体や如何に? 

昨日のテレビ朝日の『報道ステーション』という番組内で、オリンピックに潜む魔物の正体について、松岡修造が内村選手にインタビューしていました。

いつもと同じようには出来なくなること、それが「魔物」だと内村選手は答えていました。レベルの高い日本選手団の中でも群を抜いて強い内村選手です。練習を重ね、美しい体操を心がけてきたのですから、世界選手権もオリンピックも日頃の練習の通りできたら何の問題もないわけですが、そこはオリンピック、意識してしまうのだそうです。

「これは世界選手権だから」とか「オリンピックだから」とか無意識のうちに思ってしまっている自分に気づいては、「いやいや、そうじゃない」と打ち消していたと言います。

どの試合も同じようにと戒める一方で、「オリンピックだぁ」という特別意識を持ってしまっていたと言います。その特別意識こそが「魔物」の正体だと語っていました❢

つまり「魔物」はオリンピックの競技場に住みついていたのではなく、むしろ自分の心の中に潜んでいたのだというのです。いつもと違うと意識してしまうものこそ「魔物」なのだということです。

 

さらに今日は、NHKの番組で「魔物」とは「プレッシャー」なのだという分析をしていました。そのプレッシャーは、マスコミや国民の期待から来ているのだとも。

確かに、あまり注目も期待もされていなかった選手はかえってのびのびできる強みはあるかもしれません。史上最年少で金メダルをとった岩崎恭子選手がその筆頭にあがると思います。とはいえ、彼女はその後の選手人生で相当苦しみを味わったと言われています。彼女のその後はずっと「金メダリスト」という呼び名がついてまわり、期待されてしまったわけですからさぞかし辛かったでしょうね。

自分の心に宿るプレッシャーと闘うということは、何もオリンピック選手に限らず日常の私達の生活でもふつうにあることです。

皆さまはどうやって「魔物」と闘っていらっしゃいますか?きちんと立ち向かうという勇敢な方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり面と向かうのはしんどいですよね。

私はのんびりしていて「魔物」の存在に気が付かないでいるのだけど、ギリギリになって急に焦ってみたりします。

成功したときはどうしていたかというと、余裕がなくてじっくり考える暇がなかった時かなと振り返っています。舞台のそでにいたところをいきなり背中をドンと押されて出ていかざるを得ない、そんな場合は余計なことを思うこともできないから、何とかなってしまってきたように思います。その代わりベストではないから、やっぱりオリンピックとは全然話が違いますね。

本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。