東 野炎 立所見而 反見為者 月西渡
これって何だかおわかりですか?
何かの暗号のように見えますか?
クイズのようでもありますね。
実はこれ、万葉集の柿本人麻呂の和歌なんです!
万葉集ができたのは奈良時代。まだ平仮名は誕生してなかったのです。
ですから、文献に残されているのは、全て漢字だけの表記なんですよ。
奈良時代にできた古事記とか日本書記なども全て漢字だけで書かれています。大変なことだったでしょうね。当時の苦労がしのばれます。
万葉集も漢字だけで書かれていて、それを万葉仮名といいますが、当時の人々の工夫や、その発想の柔軟性には驚きます。キラキラネームの源は意外にもこんなところにあると言えるかもしれません。
たとえば、十六と書いて「しし」と読ませたり、蜂音で「ぶ」。ブーンと飛ぶからでしょう。
一日中というとき「四六時中」というのも、4×6=24ということで、万葉歌人だちの発想と同じです。
また三五夜は、3×5=15で、十五夜のことですが、これは漢詩に同じ表記が見られます。
それでは、最初にご紹介した漢字の連なりは?といえば
「東(ひんがし)の 野に陽炎(かぎろひ)の立つ見えて かえり見すれば 月傾(かたぶ)きぬ」と読みます。耳にされたこともおありかもしれませんね。
東の空には昇る太陽、振り向けばそこには月が沈もうとしているという、いかにも人麻呂らしい雄大な歌です。さえぎる建物など何もない広い野原に、太陽と月と自分しか存在しないような世界がここにはあります。
さて、万葉人たちの頭の柔らかさは愉快な程で、次のようなものもあります。
恋水と書いて・・・なみだ。
八十一なら・・・くく
山上復有山・・・これは漢字一文字です。山の上にもう一つ山が有るという意味です。答えは後ほど。
高一の生徒たちが興味を持ってくれたので、自分たちでも考えてもらいました。
現代っ子だけあって、カタカナの言葉を漢字のみの表記にしてくれた子も多くいました。
では次の漢字は何と読むでしょう?
①神奏音 ②首巻布 ③昼寝 ④青鳥 ⑤素美人 ⑥一布 ⑦恋色 ⑧呼声飛 ⑨愛届人 ⑩桜舞
それぞれ①シンフォニー ②マフラー ③やすらぎ ④ツイッター ⑤すっぴん ⑥ワンピース ⑦ピンク ⑧ヘイセイジャンプ ⑨アイドル ⑩はる
ほんの一例です。
こんなのもありました。
怒鳴人・紙遊戯氏・・・人の名前です!
正解は、ドナルド・トランプ氏。
私がドキッとしたのはこれ。「詐欺」です。
これは「けしょう」と読ませるのだそうで・・・いや、参りました。
最後に「山上復有山」の答えです。
「山」が二つ重なる漢字といえば、ズバリ「出」ですね。
さて、日本はかつて「大和の国」と呼ばれました。
そう、大きな和の国です。
世界をひとつに結びつける役割こそ、本来の日本の国の果たす役目なのではと思います。
本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。