今では信じられないような話

今月からお仕事をすることになった関係で、週に1回小学校で給食をいただいています。

私が小学校に通っていたときはパン食が主流だった給食も、いつの頃からかご飯が中心になってきているところが多いようです。給食は、学校で作るところもあれば、外部から運んでくるシステムのところもあり地域によりまちまちなようです。

またその地域の特色を生かした献立てというのも、地域の活性化や地元愛などを育み、地域の産業を支えることにもなったりで、給食にもその土地の文化が反映されていたりしますね。東京郊外のこの地では、地元の農家さんが収穫したお野菜を積極的に献立てにとりいれて、農家の方との交流も密にしています。

学校には畑もあり、子どもたちの学習にもおおいに役立っているのですが、それにも地元の農家の方の協力は欠かせないものとなっています。私が育ったところは土や緑の少ないところでしたので、作物が実る光景を幼い頃に見た記憶はあまりないんです。そういった意味では、いまの方がはるかに豊かな環境にいると言えるのかもしれません。

 

前置きが長くなりましたが、皆さまは「給食」にどんな思い出がおありでしょうか。

冒頭で申しました通り、私が小学生だった頃は、当たり前のようにパンが主食の給食でした。ごくたまに「かやくご飯」というメニューがありました。五目御飯のことです。「かやく」は「火薬」を連想して不思議な気持ちがしたものです。

また「ソフト麺」というメニューもあり、個包装してあるおうどんを各自で容器にあけていただくのでした。カレーうどんだったかと思います。

断然人気があったのは、「揚げパン」でした。油で揚げた20センチくらいの長さのコッペパンにお砂糖がまぶしてあって美味しいんですね。給食が「揚げパン」の日は、今の言葉で言うと「テンションが上がる⤴」のでした。今でも定番メニューになっている学校は多いようです。

さて、小学校低学年のときに担任の先生がクラスの子ども達に尋ねました。「みんなはご飯とパンとどっちが好きですか?」

「パンが好きな人?」「はぁい!」

「ご飯が好きな人?」「はぁい!」

人数は半々だったか、ご飯が多かったか・・・

私は「ご飯」に手をあげました。

先生はこうおっしゃいました。「みんなねぇ、頭がよくなりたかったらパンを食べなさい。パンを食べる人の方が頭がよくなるよ

小学校高学年で受け持っていただいた佐野先生と大違いで、その先生は男性のような気迫のある先生でした。自信に満ちた、とても指導力のある先生でしたが、逆らえない雰囲気をお持ちの方でした。

そして当時は先生の言うことは絶対でしたから、私は一つひとつ「そうなんだぁ」と薄ぼんやりした頭で聞いていました。

家に帰って母に報告すると、母は否定も肯定もせず「ふふふ」と笑って、「好きなものを食べてたらいいんじゃないの」と言った気がします。「そうだよね」とまたまた私は薄ぼんやりとわかったような気になったと記憶しています。

今では「パンを食べたら頭がよくなる」なんて誰も思わないけれど、当時はアメリカの影響だったのでしょうか、こういう考えをする人もいたのですね。

 

またこんなこともありました。小学校3年生の時の社会科の授業で資料集をみながら、石油からできる製品という学習をしていたときのことです。先生が「石油ってすごいんですよ。石油からはいろいろなものができます。みんなのお母さんがはいているストッキング、プラスチックの製品、それからなんとお肉もできるんです!」

すごーい‼ 

今なら「気持ち悪い」と思うところを、当時は「何でも作ることができる石油ってすごい!」と思わせられていました。オイルショックが起こったのと同じ頃のことだったと思います。

 

またまたこんなことも。4年生か5年生の家庭科の調理実習でのこと。その日は生野菜のサラダとドレッシングを作りました。生野菜はレタスとキュウリとトマトでした。堆肥などの代わりに虫よけのための殺虫剤が用いられる一方で、殺虫剤はからだによくないといわれ始めた頃でもあったのかな。

授業はこんな風に進みました。

1、まずボウルを用意します。

2、ボウルに水を入れて、そこにほんのちょっと台所用洗剤を入れます。ほんのちょっとですよ。

3、よくかきまぜたところに、レタスをいれます。(丸ごとだったかちぎって入れたかは覚えていません)

4、キュウリとトマトもいれて軽く洗ったあと、水を捨てます。

5、流水で全てのお野菜を洗います。

6、キュウリは輪切り、トマトはくし形切り、レタスはひと口大にちぎって盛り付けます。

7、サラダ油・お酢・食塩でドレッシングを作り、サラダにかけていただきます。

・・・と、こんな具合です。野菜を、薄めたとはいえ洗剤で洗うなんて今では考えられないことを当時は推奨されてやっていたのですね。

これも家に帰って「ママレモンで洗うんだよ」と母に言うと、「家ではそんなことはしません」と言われて何故かほっとしたのを覚えています。

 

今考えるとおかしなことを当時は真面目な顔で教えられたのです。こわいですね。

 

20代の時に英国の家庭にホームステイさせていただいた時、お食事の後片付けは、ブクブクあぶくの立っている大きなシンクにお皿やカップやナイフ・フォークをポシャンとつけるだけでした。しばらくたってから食器をそこから取り出して、そのままふきんで拭いておしまい。

朝は自分でインスタントのコーヒーを淹れていいよと言われていましたが、気持ち悪いのでカップを水で洗って使っていました。

しかし、人ってあんまり変な体験をすると、しばらくしてから「あれはホントのことだったのかな?」と自分の記憶に自信が持てなくなったりします。思い違いだったかななんて思ったりします。(これが強烈にイヤな記憶だった場合、無意識にその思い出を消してしまうということがあるようですが、十分考えられることです)

数年前、ママ友の愛子さんが幼少期を英国で過ごしていたと知り、私の記憶が本当だったか幻なのか確認してみました。すると愛子さんは「そうそう、イギリスの家庭ではそうしていたわ。我が家ではやってなかったけどね」というおこたえをいただきました。

 

時代や国によって「信じられないような話」があるものです。

皆さまにもそんなご経験はおありでしょうか。

本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。