穏やかな秋の午後、東京の真ん中あたりをお散歩してみました。
千代田区役所と都庁に用事があってのことなのですが、せっかく足を運んだことだし、お天気もよいので、その周辺を気の向くままに歩きまわってみたのです。何より今日は仕事がオフなのでした。
九段下はかつて通学圏だったため、千代田区役所内にある図書館にはよく通っていましたが、その裏に北の丸公園があることや、武道館や靖国神社があることは知ってはいても立ち寄ることはありませんでした。
昔は九段会館の隣りに区役所は位置していましたが、現在は通りを隔てた向かいにビルとなってそびえています。趣きのある九段会館の建て物は、東日本大震災のときの事故の影響で廃業して、レストランも宿泊施設も閉鎖されていました。かつてここは軍人会館と呼ばれたことをこのブログを書くにあたり調べてみて知りました。
役所の用事はすぐに済んだため、清水門から北の丸公園に入ってみました。
日頃八王子付近で生活していると、郊外だから緑が多いなぁなんて思っているのですが、北の丸は東京の真ん中にあるというのに、豊かな自然と静寂な空気がそこにはありました。
しばらく歩くと、こんな方がたたずんでいらっしゃいましたよ。
どなたかおわかりですか?
前からご覧いただいたらどうでしょう?
そう、吉田茂です‼
今のこの世を見渡して何を思ってらっしゃるかなとふと思ってしまいました。
遠足の児童や、くつろぐ方々がちらほら見られるほかは、気ぜわしい日本とは思えない程のゆったりした時間がそこには流れていました。
さらに歩くと、同じ雰囲気を醸し出しているおば様たちが大勢見えます。金色に輝く玉ねぎも見えます。
そうです。武道館にお目当ての方が現れるのを待ってらっしゃる方たちなのでした。韓流スターの方のファンのようです。優しく甘いマスクに癒されるのでしょうね。
そこを抜けると大きな大きな鳥居があります。靖国神社です。
進んでいくと、大村益次郎が東北の方角に向かって立っていました。
幕末期の、医師にして西洋や兵法を知る学者です。そして、日本陸軍の創始者でもあることから、ここに立っていらっしゃるのでしょう。
何が見えるのか?
何を思ってらっしゃるのか?
いったい今の日本や世界はどのようにその眼に映るのか、是非うかがってみたいと思います。
このあと都庁にも用事で行きましたら、南スーダンに自衛隊を派遣することに反対する人たちや、労働者の方たちがビラを配ったり、集会を開いたりしていました。
さらに帰りがけに大型書店に立ち寄ってしまいました!そして気に入った本を数冊持ってレジに行くと、お隣りのレジに呼ばれた男性が、若い女性スタッフに詰め寄って、いいがかりをつけていました。「差別された・・・どうしてくれる?」というようなことを問い詰めていましたが、若い女性は殊勝に応対していました。
隣りのレジにいても緊張が走る出来事でした。
心がトゲトゲなんだなぁと感じましたが、下手に口出ししたら火に油です。祈って見守っていましたら、最後は大人しくお金を払って帰っていきました。
その人が去っていくと若い女性は上司らしい人に報告。するとほっとしたのか涙が・・・
一瞬、私と彼女だけの時間が訪れたので、「大変でしたね。」と言って、今日も持って歩いていたルーンストーンを「ひいてみる?」と差し出しました。嬉しそうに彼女がひいた石は、人が万歳しているような形の文字の石でした。お守りの意味があるのでそのようにお伝えすると、「救われました。」と喜んで下さいました。
ちなみに何故一部始終をながめていたかというと、私の欲しい本の在り処を研修中のレジの男の子が探しにいったきり、なかなか戻ってこなかったからです。
おかげで、今の世界の縮図「非寛容」を間近で見てしまいました。悲しいことです。
ひと息つこうと寄ったカフェでは、勤勉な日本人をたくさん見ました。パソコンを置いて仕事をしたり勉強したり。
一生懸命生きているんだなぁ。きっとよい明日が待っているに違いない。そして私もさっそく買ったばかりの本を取り出すのでした。
今日見た景色は、ほんのちょっとではあるけれど、何だか今の日本を垣間見たような秋の一日となりました。
本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。