ZaZaと名乗る友人がいます。ママ友の一人です。子育ては苦労が多いですけれども、育てている過程で出会った素敵なママ友たちは一生の宝物になります。共有する思いが多いからでしょうか。その彼女から送られる言葉は、何より行間がみごとです。ひとこと一言の言葉の匂いもさることながら、その空間の美しさが抜群です。行間の効果か、彼女の言葉はポエムのように私の心に響いてきます。まるでチトの親指のようだなと思うのです。
チトは「みどりのゆび」という美しいお話に出てくる男の子です。。その金髪の小さな男の子の持って生まれた不思議な親指が「みどりのゆび」なのです。チトが親指を土の中に押し当てると、間もなくしてそこから美しいお花が咲き始めます。学校を辞めさせられたチトのその才能を見出したのは庭師のおひげのおじいさん(ムスターシュ)です。
不思議な指の存在に気づいたチトは「なんの役にたつの?そのみどりのおやゆびって。」と尋ねます。するとひげじいさんは次のように答えるのです。
「それはな!すばらしい素質だよ。特別に神さまがくださったものだ!」さらに「一番いいことは誰にも言わないことだ。好奇心を持たせたり、意地悪されちゃつまらないからな。隠された才能というものは、どうかすると、わたしたちに不安をもたらす危険がある。」とアドバイスするのです。フランスのお話らしく、子ども向けとはいえ、ズバリ核心をついた表現があちこちに散りばめられています。
チトはまず刑務所をお花で満たします。すると囚人たちの心は穏やかになり自由になり、逃げ出て行く者はいなくなります。
次にチトがお花を咲かせたのは、貧乏人の住む一帯です。酔っ払いや犯罪や悪徳がはびこっていた汚い場所が一夜のうちに町で最も美しい所に変わり、観光に訪れる客のおかげで財産も生まれ、仕事にもありつくことができました。
心で理解できないために理屈をこねまわす大人たちの中で、ひげじいさんと医者のモディベール先生だけは例外でした。チトがひげじいさんとモディベール先生はどこか似てると思います。
すると「似ているのはきっと、ムスターシュもわたしも、ふたりとも生きる手助けを仕事にしているからだよ。ムスターシュは花が生きる手助け、わたしは人が生きる手助けをね。」というのです。なんてステキな言葉でしょう。
その後チトは病院の部屋を花で満たして、病気で歩けなかった女の子は希望と生きる楽しさを感じて歩けるようになります。また、動物園でもそれぞれの動物の居場所をそれぞれのふるさとの花や木で満たしたおかげで猛獣の心すら安らぐようになります。
さて、チトのお父さんは武器を作って儲けている人でした。そして世の中では石油を求めて戦争が起こるといううわさがひそひそ声でささやかれます。チトは工場の跡取りとして期待され工場見学をさせられます。そのときチトはひらめきます。機関銃や大砲から弾が飛んでいかないようにあらゆる武器に親指を押し当てたのです。
その結果植物は兵器のいたるところにからみつきます。お花やつる草のおかげで軍隊は戦うことができなくなります。間もなく平和条約が結ばれ、町はもとの空と静かさと自由を取り戻すことができました。
それからしばらくしてチトの才能を見出し、応援してくれたひげじいさんは長い長い旅に出て行ってしまいます。まわりの人たちにひげじいさんがどこにいるか尋ねると、ある人は地下だと言うし、別の人は天にいると言います。地下なのか天なのかその答えを求めに、チトは天に向かって藤のはしごをのぼることに決めました。天にたどり着くと「やあ来たね。」という声に迎えられ、もう地上には戻らないチトなのでした。
いったいチトはなにものなのでしょう?もうおわかりですね。答えは最後にお教えしますね。
以上、岩波少年文庫 モーリス・ドリュオン作 安東次男訳「みどりのゆび」でした。子ども向けにひらがな表記になっているところをここでは漢字で表記しています。
さて今日は「乙(きのと)」の他の十干との関係や相性をみていきます。
甲(きのえ):かわいくかよわいお花である乙(きのと)にとって「木」をあらわす甲(きのえ)の存在は頼もしい存在といえます。助けてくれる有難い存在なのです。乙(きのと)はつる草となって甲(きのえ)にからみつくことで安堵するわけです。これを藤蘿繋甲(とうらけいこう)といいます。藤などのツタ性の植物が、樹木につながってまとわりつくことを指します。
乙(きのと):互いにつるが巻き付きからみつくので、よい関係とはいえません。
丙(ひのえ):お花である乙(きのと)は太陽の恵みなしに育ちません。ただし適度な水が不可欠です。
丁(ひのと):寒冷の時期の生まれの乙(きのと)には太陽の代わりに成り得るものの、水が全くない場合は人工の火である丁(ひのと)により簡単に燃やされてしまいます。
戊(つちのえ):山の土である戊(つちのえ)の土は固いしパサパサなので、お花である乙(きのと)が育つのは困難です。
己(つちのと):よく耕されて(甲があって)太陽(丙)と適度な水(癸)のある己(つちのと)の土があってこそ乙(きのと)はよく育つことができます。成長を助けてくれる存在です。
庚(かのえ):斧なりナタである庚(かのえ)と共にある乙(きのと)はいつばっさり切られるかおどおどびくびくすることになります。迷惑な存在。
辛(かのと):この辛(かのと)もカミソリなどの小型ナイフと考えられるため、かよわいお花は容易に切られてしまいます。
壬(みずのえ):大河である壬(みずのえ)の水はお花を押し流してしまうため、水を吸い上げてくれる甲(きのえ)の木が共にあることが望ましいです。
癸(みずのと):お花にとって雨の水である癸(みずのと)はまさに恵みを与えてくれる存在といえます。
今日は20時24分過ぎに新月になります。雨が降ろうが曇っていようがお願いごとをすることができます。どうぞお試しあれ!
ちなみに前回3月の新月のお願いをなさった方から、「おかげ様で国立大学の二次試験に息子が合格しました!」とご連絡をいただきました。嬉しくて涙が出てしまいました。実力があっての合格ですが、「おかげさま」の心の美しさに感動したのでした。
それからひとつ訂正です。今月の三合参りの24日は「土用入り」していますので、土の神が動き、三合の効果は働きにくいようです。せっかくの三合参りですが、次回の8月に期待しましょう。
チトの正体は・・・天使です。最後までお付き合いいただきありがとうございました。