人が一生のうちで一番よく言葉に出し、文字としても書くのはご自分の「お名前」ではないでしょうか。
「名前」は親から最初にいただく贈り物でもあります。その名前には、パワーがあると私は考えています。
自分も含めて、名前に関する不思議で面白い話はたくさんありますが、今日は名前をテーマにした民話をご紹介致しますね。
「だいくとおにろく」〈こどものとも傑作集〉松居 直(ただし)再話・赤羽末吉画より
流れの速い川があり、何度橋を架けても流されてしまうので、そこの村人は困っていた。村人は話しあって、最も名高い大工に依頼する。大工は引き受けたものの、現場を訪れるとあまりの流れの速さに心配になる。するとそこへ鬼があらわれる。「橋はかけてやるが、その代わりにお前の目玉をよこせ」というのである。大工は「どうでもよい」などと生返事をする。
2日後、橋は立派に出来上がっていた。鬼は「さあ目玉よこせ」という。「待ってくれ」という大工。自分の名前を当てたら許してやろうという鬼。
大工はあてどもなく山をさまよう。すると声がきこえてくる。「おにろくが早く目玉を持って帰ってこないかなぁ」という内容。
次の日大工と鬼の駆け引きが。じらした挙句、大工は名前を言いあてる。すると鬼は「聞いたなっ」というなり消えてしまった・・・という話。
名前を当てられた鬼はパワーを吸い取られて、それで存在することができなくなってしまったということでしょうか。西洋には、似たようなお話に「ルンぺルシュテルツヘン」というものがありますね。
名前には霊力がきっとこもっているのでしょうね。
親の期待と願いのみならず、そこには何かとてつもない大きな不思議なパワーが宿っているように思います。人はその呼ばれ方で性格が変わってくるという説もある程です。
名前の研究をしたら、そこから見えてくるものは深いと思います。
最近名づけに大切なものに「画数」のほかに、「陰陽」もあると知りました。日本人の場合、漢字の意味とうものも大切に考えますね。漢字発祥の地中国では、響きに重きを置くとか聞きました。平仮名は日本独自ですが、曲線のまるみは柔らかくてかわいらしさがありますね。
とても深い「名前」の話。そのパワーについてもっと勉強していきたいと思います。