四柱推命における通名星 その3「官星」

「立てば芍薬 坐れば牡丹 歩く姿は百合の花」・・・艶やかで華麗な花が目を楽しませてくれるのがこの季節です。5月は美しい花々がいっせいに花開くゴージャスな時期ですね。「立てば芍薬」というように背が高いのが芍薬、「坐れば牡丹」の言葉通りどっしり重心が低いのが牡丹です。

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牡丹花は咲き定まりて静かなり 花の占めたる位置の確かさ  木下利玄の短歌です。牡丹の重心の低さがみごとに歌われています。

また小倉遊亀(おぐらゆき)さんの「咲き定まる」という絵も上品な艶やかさを感じさせる名画です。高校生のとき小倉遊亀さんのお話を聴きにいったことがあります。小柄なおばあちゃんでしたが、「咲き定まる」の絵の通り凛とした風情をお持ちの方でした。

 

さて、今日は男性にとっては「仕事」を意味し、女性にとってはそこに「夫」や「男性」の意味も加わる「官星」がテーマです。

日干が「木」の人→「金」に相当する十干十二支

日干が「火」の人→「水」に相当する十干十二支

日干が「土」の人→「木」に相当する十干十二支

日干が「金」の人→「火」に相当する十干十二支

日干が「水」の人→「土」に相当する十干十二支 が「官」の星です。「官殺」という言い方もあります。

 

「官星」は自分自身を尅するものという言われ方をこの世界ではしています。わかりやすく言うならば、コントロールしてくるもの、上から支配・規制してくる存在で、家庭では「夫」、会社では「上司」ということになりましょうか。

「官」にも2種類あります。「偏官」(へんかん)と「正官」(せいかん)です。

「偏官」は日干と陰陽が同じです。つまり「甲(きのえ)」は陽ですから同じ陽の「金」に相当する十干は「庚(かのえ)」となります。「え」は「兄」の意味で「陽」となります。

この星があらわすのは権利・地位・義侠心・負けずい・頑固・偏屈などで、好き嫌いが激しく苦労を抱え込みやすいタイプと言えます。別名「七殺」とも言います。男性には「仕事」のほか、「子ども」の星となります。

女性にとっては「夫」であり「男性」「愛人」を意味します。まさに「夫」をあらわす「正官」と、この「偏官」が同時に命式にある場合、異性問題や再婚が暗示されますが、必ずそうなるとは言い切れません。あくまで傾向であって、生き方が反映されるのが「人生」だからです。命式にあらわれた一つの現象から結論を出すのは危険です。興味深いことに、ある現象が起こる場合、必ずといってよいほど複数の要因がその現象を指さしているのです。

月の支の位置にある「通名星」が最も強く作用するので、それを「月支通名星(げっしつうめいせい)」と呼びますが、その位置に「偏官」があると、社会的名声や仕事での地位に執着する傾向が強いです。活動的できっぱりと物事を決める力がある反面、行動がやや性急で荒っぽく、人の好みもはっきりしています。冒険心もあり、人と同じで満足しないところもあるので、それが吉か凶かはそれぞれです。

所謂「豪傑」と呼ばれるタイプの人に、この「偏官」が多いのもうなずけるかと思います。人と同じでないから、目立ちますので、目をつけられやすくもあります。そんなことから問題を抱えやすいタイプとも言えそうです。

 

一方「正官」は、日干と陰陽が逆の関係となります。日干「甲(きのえ)」の人にとっては「辛(かのと)」が「正官」です。「と」は「弟」の意味で「陰」であるからです。

この星があらわすのは目上・権利・役職・地位・昇進などで、温厚誠実が持ち味の人です。品位もあり、どことなく貴公子の風情を持っています。信用を重んじて計画的ですが、気位の高いところがあり気難しいところが玉に疵といえましょうか。

「月支通名星」にこの「正官」があると、品行方正で真面目、人の上に立つ素質があり、何事も念入りに準備してきちんとしています頭の回転もはやい人が多く決められたことをよく守る一方で臨機応変のことにも対応できる力があります。

女性にとっては男性を意味しますので、ほかに「偏官」が命式内にある場合、異性問題か再婚といった暗示になります。女性で「官」の星があると男性の気持ちがわかるタイプであるといえるようです。この「官」の星が命式のどこにあるかで、結婚の時期なども読み取れます。命式にない場合は10年ごとにまわる大運に「官」の星があらわれた時がそのチャンスと考えられます。しかし結婚の暗示はほかにもありますので、「官」の星がよい時期にあらわれなくても心配ありません。

 

本日もおつきあいいただきありがとうございました。