今日は桃の節供、雛祭りです。かつては「上巳(じょうし)の節供」と言いました。3月上旬の最初の巳(み)の日が「上巳」です。年に十二支があり、月にも十二支があるのと同じように、日にちにも十二支があり、その巳です。
ちなみに今は5月5日は「端午の節供」と言いますね。これももとは5月最初の午の日の行事でした。
さて、桃の節供は今では、雛人形を飾って祝う女児の行事としてすっかり定着していますが、もともとは人の形に作った「ひとがた」を水に流して無病息災を願う行事でした。紙や草木で作った人形(ひとがた)で自分のからだを撫でたり、息を吹きかけたりして穢れを移し、それを川に流すというものです。悪いものは水に流す「禊(みそぎ)」の風習です。
このようにもとは人の形の紙や草木だったのが、やがて立体的になり、豪華な衣装を着せると流すより飾ることが習わしとなり、それが今に継承されて雛人形となったのですね。平安の時代には貴族の家では「ひいな遊び」といって雛人形でおままごとのように遊んでいた記述があるのですよ。季節もちょうど「桃」の季節ということもあり、こうして無病息災の行事がいつの間にか女の子限定の「ひな祭り」となったのです。
「桃」は若々しい女性の魅力をあらわすものでもあります。桃の花も実もそして葉も、女性らしさの象徴であったようです。花の美しさ、実のみずみずしさ、そして葉の豊かさです。「桃夭(とうよう)」という漢詩は女の子がお嫁に行くときのものですが、「桃」の魅力満載です。
古事記では、伊邪那岐の命(いざなぎのみこと)が黄泉の国から帰ってくる「よみがえり」の話に桃が登場します。死の国から追いかけてくる追っ手を追い払うのに「桃」の実を投げつけるシーンがあります。どうやら「桃」には呪術的な意味もあったようです。
こんな言葉もありました。「桃李もの言わざれども下おのずから蹊(みち)をなす」
桃もすももも何も語ることがないけれども、その魅力にひかれて木の下には自然とひとが訪れ、みちができていると言ったものです。そうありたいなと憧れてしまいます。すごいぞ、桃とすもも!!
ひな人形の代わりに、たまごです。たまごにも個性があるんですね~