音楽の持つパワーは物凄いものがありますね。音楽は人の心や頭を活性化する働きがあると私は信じています。
間もなく卒業していく高校三年生の中にも「歌」の魅力にとりつかれて「歌」で人を元気づけたいと願っている生徒がいます。本当に好きなことに気づき、好きなものに関わって人を励ましたり勇気づけたりしたいと考えていることが素晴らしいと思います。夢を現実のものにしていって欲しいと願っています。
落ち込んだときに「歌」に慰められたり支えたりした経験のある方は多いことでしょう。また喜び溢れるときに自然と「歌」を口ずさんだり、鼻歌を歌っていたりすることもおありでしょう。「歌」には限りないパワーがあるようです。
かつては和歌を歌と言いましたが、紀貫之は古今集の仮名序で「生きとし生けるものいづれか歌をよまざりける」と歌のパワーを語っています。「この世に生を受けたもので歌をうたわないものはない」と言い切り、さらに「力を入れないのに天地を動かし、目に見えないスピリットすら感動させ、男女の間もとりもつもの、それこそが歌なんだぁ」と熱く語り続けていて面白いです。
同居の夫の母も歌が好きです。高齢なので元気の出ないときもあります。昭和のメロディのCDを流してみましたがさっぱり反応がありません。下手くそながら私の二胡を聴いていただきましたら、頬に赤みがさし、やがて演奏に合わせて口ずさむ程に気持ちが回復し、食欲も出てお散歩に出かけたいと思う程になりました。音楽はすごい、生演奏は(たとえ下手でも)もっとすごいということが実証されました。
二胡の師の牧宮子先生が新幹線で移動中のことです。隣りに座った紳士が、先生の楽器ケースを珍しそうにながめてなんの楽器が入っているのかお尋ねになったことから、演奏の依頼にまで話が発展したそうです。その紳士の奥様は認知力が低下しているのだけれども、生の演奏にだけはしっかり反応を示されるというのです。そこで、是非牧先生の生の演奏を妻に聞かせてやりたいと招待を受けたらしいのです。そんな素敵な出会いも世の中にはあるのですね。私が母に二胡を聴いていただこうと思ったのは、この話に感銘を受けたからなのです。
ではCDから流れる音楽と生の演奏とは何が違うのでしょうか。周波数というものに違いがあるのでしょうか。
気の乱れを整えるのに「音叉(おんさ)」を使う方法があることは知られています。どうやら音叉にヒーリングの効果があるようです。目に見えない波動が波紋となって脳波にリラックス効果をもたらすと言われていますし、水晶などのパワーストーンの浄化にも音叉の4096ヘルツは効果があるのだそうです。
心にも脳にも、そして石にも響いて癒しの効用や整える効果をもたらすものは、生演奏の「波動」なのかもしれません。