Cruel War by Peter,Paul & Mary

漢文の授業で「桃花源記」を生徒と一緒に読んでいます。田園詩人と言われた陶潜のあらわしたお話です。陶潜は陶淵明とも言い、「帰去来の辞」という詩で「帰りなんいざ 田園まさに荒れなんとす」と歌ったことで有名です。役人生活を辞めたときに「故郷に帰ろう!」と詠んだものです。

さて、桃の花のピンクを中国の人は好きなのだそうで、ですから桃の花が咲き、花びらがひらひら舞い落ちる光景はそれだけでうっとりする眺めだろうと想像できます。日本ならさしずめ桜舞い散る景色でしょう。

その桃の林に魅せられて進んでいくとその奥にはのどかな世界があるのですね。田園の中でみんなゆったりと暮らしているわけです。いわゆる「桃源郷」と呼ばれるところです。そう、ユートピアです‼

生徒たちに理想の世の中を尋ねると、「貧困のない社会」とか「格差のない世の中」という答えのほかに「偏見がなく、誰でも好きなことに没頭できるところ」や「時間を気にせずに落ち着いて過ごせるところ」なんて答える子もいます。

「自然災害の起こらないところ」とか「思いやりに溢れた世界」「自分の素を出しても受け入れてもらえるところ、つまり自分の居場所が認められるところ」みたいに答える子もいて、もっともだなぁと思った次第です。

多かった答えは「喧嘩や揉め事がない社会」や、その延長線上の「戦いのない世界」というものです。中には「テロの起こらないような社会」というものもありました。

高校生、よく考えていますよ!この大切な若い世代をよく生かすのも、殺すのわたしたち大人です。よい芽をしっかり育て、花を咲かせる手伝いをしなければならないとつくづく思います。

そして、この大切な子たちを絶対に戦闘地に送り込んだりしてはいけないと思います。バチが当たると思います。いかがお考えでしょうか。

今日はこの歌です。

 

Cruel War(悲惨な戦争)by Peter,Paul&Mary(ピーター、ポール&マリー)

The crel war is raging, Johnny has to fight.  悲惨な戦争は激しくなってジョニーも戦うことになった

I want to be with him from morningt to night. 朝から夜までジョニーと一緒にいたい。

I want to be with him, it grieves my heart so.彼と一緒にいたい、そんな私の心は悲しみでいっぱい

Won’t you let me go with you.       彼と一緒に戦地に行かせて

No, my love, no.             いや、行かないで

 

Tomorrow is Sunday, Monday is the day.  明日は日曜、そして月曜にはキャプテンに呼ばれるの

That your Captain will call you and you must obey. そしたらあなたは命令に従わなけりゃならないわ

Your Captain will call you, it grieves my heart so.  キャプテンに呼ばれることを思うととても胸が痛む 

Won’t  you let me go with you.          お願い、連れて行って

No, my love, no.                いやよ、行ったらいや

 

I’ll tie back my hair. Men’s clothing I’ll put on.   髪をひっつめて男ものの服を着るわ

I’ll pass as your comrade as we march along.    そしたらあなたの仲間として行進に加わるわ

I’ll pass as your comrade, no one will ever know.  あなたの仲間となっても誰も気づかない

Won’t you let me go with you.          ね、だから一緒に連れて行って

No, my love, no.                いやよ、行かないで

 

Oh Johnny , oh Johnny. I fear you are unkind.  ジョニー、ジョニー、そんなに冷たくしないで

I love you far better than all of mankind.    ほかの誰よりもあなたをずっとずっと愛している

I love you far better than words can ever express. 言葉で言い尽くせない程あなたを愛している

Won’t you let me go with you.         お願い、連れていってちょうだい

Yes, my love, yes.               ねえいいでしょ

Yes, my love, yes.               いいと言って

 

 

最後の「No, my love, no」と「Yes, my love, yes」の部分はジョニーの言葉とする訳もあるようですが、私はここは掛け合いにせず、彼女の言葉としてみました。

いずれにしても、いつの世も戦争は恋人を引き離し、父を母をそして子どもを奪います。まさに悲惨です。

どうぞ日本は戦争に向かうことになりませんように。日本は世界に戦争や紛争をストップさせる国として存在していきますように。

 

さて、ちょうど今年と同じ二黒土星(じこくどせい)の年である1962年にこの歌はヒットしました。静かに抒情的に心にうったえかけるように歌うピーター、ポール、そしてマリーの3人の声は実に調和がとれて美しいです。

ピーターは「癸亥(みずのと・い)」、ポールは「辛卯(かのと・う)」、そしてマリーは「乙未(きのと・ひつじ)」の日干を持っています。全員が陰干です。自分を強く前面に出すのではなく、あくまでも調和を第一にできるメンバーであったのかなと想像します。

なお聖書に登場する人物にあてはめると、ピーターはペテロ、ポールはパウロ、そしてマリーはマリアとなります。マリアはキリストの母の名であると同時に、娼婦ではあるけれども稀な優しさを持つマグダラのマリアでもあります。これは余談でした。

本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。

世界の人々に、このP,P,Mの歌声が響いていきますように‼